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観能10年10カ月から

  (その8)

 友枝昭世の「隅田川」

  故 片山幽雪師のご逝去もあり、暫く中断していた〈観能10年10カ月から〉、印象に残った舞台を
  紹介する。平成22年(2010)12月11日の、能楽協会主催「ユネスコ能」第三回公演、 友枝昭世の
  「隅田川」である。
  昭世は、喜多流職分会の代表で人間国宝 (平成20年認定)、人気・実力とも能楽界の最高峰。今迄
  45回のシテ舞台を観てきたが、不出来と言う舞台は皆無である。だが、如何なる名優でも曲種・
  曲柄により、得手不得手はある。
  名曲「隅田川」の 昭世の舞台は、平成19年1月24日と、紹介する22年12月11日の2度観ている。


  
   シテ:友枝昭世  子方:友枝大風  ワキ:森 常好  ワキツレ:舘田善博
   笛:一噌仙幸 小鼓:曽和正博 大鼓:安福建雄  地頭:粟谷能夫 主後見:香川靖嗣

  主人公は、我が子梅若丸を人商人に攫われて心乱れた母 (狂女) である。遥々都から我が子を尋ね
  て、東国隅田川に辿り着く。だが、母の前に現れたのは梅若丸の亡霊であった。大小前に、小さ
  な作り物の塚を出す。

  昭世 (昭和15年3月24日生れ 70才) の「隅田川」は、3年程前に1度観ている。
  その時の印象は、「何とも不満が鬱積する舞台であった。昭世の芸が完璧で美し過ぎて、観る者
  の胸に打つものがなかったのだ。悲劇のドラマ (観客は皆そう思っている) であれば、もう少し
  泥臭い演技があってもよさそうなものだ」であった。

  能劇も、あまりリアル感を出し過ぎると能で無くなる。だが、今日の 昭世は、母の真情を美しく
  昇華させ、観る者をぐいぐいと舞台に引きつけた。1度目の舞台とは異なり、心に響く正に名演
  技であった。(上演時間80分)
                            (平成22年12月11日 記)





10年10カ月 | 09:25:23

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