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観能10年10カ月から
   4. 三老女物


      (その1-2)

       浅見真州の「姨 捨」

     能の秘曲で老女物の最高峰のひとつ「姨捨」、観世流の実力者 浅見真州 (68歳) の、
     平成11年初演以来10年振りの再演である。
     今回は照明に蝋燭の光を使い、薄明かりの中で老女が舞い遊ぶと言う幻想的な演出
     である。燭台が白洲に並び、橋掛りまで延びてその数22。舞台天井の照明を落すと、
     蝋燭の灯りが柔らかく演者をつつむ。
     後場がこの曲の主題となり、姨捨山に捨てられた名もない老女の一生を、月の光と
     ともに詩情的に描く。
     真州はこの後場を、余韻寂々とした舞いの所作で見所を魅了した。上演時間160分、
     秀でた技量・力量に加え気力に満ちた 真州の名舞台であった。
     終演後能楽堂を出て見上げた空に、中秋の名月が恰も舞台を讃えるが如く、光り
     輝いていた。                (平成21年10月5日 記)



      (その1-3)
       
       梅若紀彰の「姥 捨」

     硬質な謡や律儀な舞と型など、梅若紀彰 (55歳) らしさが出た「姨捨」であった。
     常よりやや声を抑え、しっかりと丁寧に謡って曲趣の雰囲気を作った。紀彰の、静
     かなる熱演が見事であった。
     この大曲を、この若さで上演出来た 紀彰の幸せを多としよう。
     地頭 梅若玄祥の存在が極めて大きい。地謡の力で 紀彰が、145分の長丁場を弛む
     ことなく舞い終えたと言ってよい。
     会場の梅若能楽学院会館は、中正面席上部に大窓 (磨りガラス) があり、自然光が差
     し込む。今日は晴天で太陽光が降り注ぎ、舞台は恰も月の光の如く白く輝いた。
     この現象が、曲の情趣を倍加させたのは間違いない。 
                           (平成23年11月21日 記)



10年10カ月 | 06:10:18

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