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観能10年10カ月から

  4. 三老女物

    10年10カ月の間に三老女物 (何れも三番目物) の舞台を、「伯母捨 (姨 捨)」16回、
    「檜 垣」10回、「関寺小町」5回 観てきた。それらを年代順に記し、特に印象
    深かった舞台の記録・感想を紹介する。


     (その1)

       「伯母捨 (姨 捨)」
          平成16年04月06日  友枝 昭世 (喜多流・63歳)
           〃16年10月17日  観世 榮夫 (観世流・77歳)
           〃17年09月25日  佐野  萌 (宝生流・77歳)
           〃18年03月25日  永島 忠侈 (観世流・66歳)
           〃18年11月23日  観世 清和 (観世流・47歳)
           〃19年10月07日  武田 志房 (観世流・65歳)
           〃20年10月18日  今井 清隆 (金剛流・65歳)
           〃21年02月10日  野村 四郎 (観世流・73歳)
           〃21年10月03日  浅見 真州 (観世流・68歳)
           〃22年10月03日  角 寛次朗 (観世流・71歳)
           〃23年09月25日  高橋  章 (宝生流・77歳)
           〃23年10月22日  山本 順之 (観世流・73歳)
           〃23年11月20日  梅若 紀彰 (観世流・55歳)
           〃24年06月30日  観世銕之丞 (観世流・55歳)
           〃24年10月27日  角当 行雄 (観世流・71歳)
           〃25年04月06日  香川 靖嗣 (喜多流・68歳)


     (その1-1)

       観世榮夫の「姨 捨」

     榮夫は初演に当り、「後場、老女の霊が姨捨山の秋の夜の清らかな月の光の中に
     現れ、澄みきった月光の中を戯れるように舞い遊ぶ存在である」「シテとワキと
     の間には、特別な人間関係があるのでもなく、互いに月の光の澄んだ透明な美し
     さの中に浸って行き、夜が明けるとともに帰って行く」
     「そこには年老いた老女の霊が捨てられたように残り、また土中に帰って行くの
     である」「月そのものではなく、月光の清く濁りのない美しさが描かれねばなら
     ないと思う」と述べている。
     頭から足の先まで白ずくめの老女 (霊) の、一挙手一投足が、この曲の全てを物語
     る。月の光に浮かび上がった 榮夫は、時にふわふわと、時に小さく縮こまり、そ
     れはそれは美しく可愛く自在に見えた。
     榮夫の技量に感動すると言うものでもない。その時その場に、榮夫の老女が居た
     と言うだけのことである。
     友枝昭世の「伯母捨」は、昭世の体現力が成せる高邁な伎芸に、感動と充足感を
     得た。榮夫の「姨捨」には、榮夫の伎芸に感動したと言うよりは、ごくごく自然
     なものの存在を、そこに確認しただけと言ってよい。
     私にとって、両者の「伯母捨」「姨捨」は、共に心に残る名舞台なのである。
                          (平成16年10月18日 記)

       註:観世榮夫 平成19年6月8日 逝去 (享年79)



10年10カ月 | 09:10:57

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