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 新「観世能楽堂」 と 特別公演

 新しい「観世能楽堂」が、2017年 (平成29年) 4月20日、東京銀座旧松坂屋跡地
 に建てられた「GINZA SIX」の地下3階に開場した。
 2年前に閉場の、渋谷・松濤の旧能舞台をそのまま移築したもので、見所は縦長で
 脇正面席が極端に少なく、中正面席はやや変形の扇形、正面席が後方まで長く続く。
 音響効果は定かではないが、能舞台・見所などの雰囲気は悪くない。だが、ロビー・
 休憩所が広くないのが不満だ。 
 開場記念公演が続く中、5日目の若手特別公演を鑑賞した。

  観世能楽堂開場記念「若手特別公演」 観世能楽堂 
    4月24日(月) 開演19時30分〜終演21時20分  満 席

  「 乱 」小書:置壺・双之舞
    シテ/猩々  坂口貴信 ・ 林 宗一郎
     ワキ/高風 舘田善博
     大鼓/原岡一之・小鼓/鶼澤洋太郎・笛/松田弘之・太鼓/小寺真佐人
     地頭/武田友志・副地頭/角 幸二郎

   正先に大酒壺を置き、貴信・宗一郎の両シテで演じた。海底に住む猩々が、酒
   を飲み舞戯れる祝言能。赤頭・赤い童顔の専用面・赤地金糸模様の装束という
   赤づくめの姿態。
   流れ足・抜き足・蹴上げ足などを多用、水上を戯れ遊ぶ態を見せる。両シテは
   見事に息が合って、祝言能に相応しい、楽しくも美しい舞を見せた。
                               上演時間:40分

  「石 橋」小書:大獅子(半 能)
    シテ/白獅子  上田公威
     シテツレ/赤獅子 坂井音雅・武田宗典・関根祥丸
     ワキ/寂昭法師 野口能弘
     大鼓/柿原弘和・小鼓/幸 正昭・笛/一噌隆之・太鼓/林 雄一郎

   舞台正面先に、赤・白牡丹の一畳台二基を並べる。霊獣獅子が四頭(白頭 =
   親獅子・赤頭 =子獅子三頭)が現れ、牡丹に戯れ遊ぶ豪壮な祝言能。
   勢揃いした獅子四頭が、舞台狭しと華麗で豪華な舞を見せた。ただ、公威の
   面ヒモが緩んで面が下にヅレたのか、動きが些か不安定だったのが惜しまれる。
                               上演時間:20分



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観能記 | 09:40:43
「羽 衣」と「光の素足」

 「羽 衣」は、能の中でも最もポピュラーな曲で、上演回数が多く人気も
 高い。「光の素足」は、平成18年に初演された新作能で、上演回数は多
 くない。今年の2月に「光の素足」を、3月には「羽 衣」を鑑賞した。


  第十一回「山井綱雄之會」 国立能楽堂 2月26日(日) 
              開演14時〜終演17時10分 8分の入り
      能1番・仕舞1番

 「光の素足」
  シテ/前:老人・後:光の素足  山井綱雄 (金春流)
   ツレ/少年一郎 中所宜夫 (観世流)
   アイ/ボウセ童子・蠍 山本則重 /チュンセ童子・大烏 山本則秀
   大鼓/安福光雄・小鼓/田邊恭資・笛/一噌幸弘
   地頭/高橋 忍 副地頭/辻井八郎

  観世流能楽師:中所宜夫 (九皐会・59歳) の創作で、原作は宮沢賢治、
  金春流版節付監修は金春安明、型附演出は山井綱雄である。
  中所は平成17年に新作能「光の素足」を完成させ、18年11月に初演
  を挙行、爾来数回この曲の公演を行っている。
  今回初めて異流儀による公演を行うもので、シテを綱雄・ツレを宜夫
  が勤める。

  平成22年12月に「中所宜夫能の会」公演で、本曲を鑑賞している。
  シテを宜夫・ツレを子息の真吾が勤めた。
  当時の感想は「鑑賞後正直なところ、少しばかり高尚な学芸会劇を
  観た感じで、何ら感激性も面白味も湧かない舞台に戸惑った。
  能もどきではあるが、物語の筋がよく判らず、唐突なアイ狂言(寸劇?)
  もあり、これが宮沢賢治の世界などと言われても理解できない舞台で
  あった」と記している。

  今回の本曲の公演は、なかなか面白かった。初演から10年余を経て
  公演回数を重ね、作品がよくこなれていた。金春流版と言うことで、
  安明宗家や綱雄が意欲的に節付・型附を行ない、アイ狂言も洗練され
  ており、何より囃子方・地謡陣の奮闘が舞台を盛り上げた。
                       上演時間:85分


  東京能楽囃子科協議会定式能「三月 昼能」 国立能楽堂
     3月15日(水) 開演13時30分〜終演16時30分 8分の入り
      能1番・狂言1番・仕舞5番

 「羽 衣」和合之舞
  シテ/天人  鵜沢 久 (観世流)
   ワキ/漁夫白龍 大日向 寛  ワキツレ/御厨誠吾・野口能弘
   大鼓/大倉栄太郎・小鼓/鳥山直也・笛/槻宅 聡・太鼓/金春國直
   地頭/浅井文義 副地頭/西村高夫

 鵜沢 久 (観世流:銕仙会・67歳)は、女流能楽師の第一人者である。
 鍛えられた芸は、男性能楽師にも決して退けを取らない。本曲は人気
 曲で上演回数も多い。このため、演者にとっては却って難しい曲とさ
 れる。

 私はこの曲を10年間で23回程観てきた。が、印象に残っているのは、
 24年1月の関根祥六(観世流)・同1月の三川 泉(宝生流)・25年9月の
 友枝昭世(喜多流)・26年2月の香川靖嗣(喜多流)などである。

 今日の舞台は、これら演者に勝るとも劣らないものであった。爽やか
 で綺麗な謡、美しい舞の所作は、しなやかで上品な雰囲気を舞台に醸
 し出して、見所の隅々まで魅了させた。   上演時間:70分




観能記 | 08:30:21
香川靖嗣の會

 第十二回「香川靖嗣の會」 喜多能楽堂  4月1日(土) 小雨
                    開演14時〜終演16時40分 満 員
     能1番・狂言1番

「隅田川」
 シテ/狂女 (梅若丸の母)  香川靖嗣   子方/梅若丸 (亡霊) 大島伊織
  ワキ/渡守 宝生欣哉  ワキツレ/旅人 御厨誠吾
  大鼓/國川 純・小鼓/曽和正博・笛/一噌幸弘
  地頭/友枝昭世 副地頭/粟谷能夫

 本曲は女物狂能で知られ、唯一親子の再会を果たせない悲劇的な能である。演者の
 技量・力量により、観る者の心を打ち見所を涙の虜にさせる劇能と言える。

 喜多流の名手 香川が、持ち味の静謐で控えめな芸により、この悲劇能を観客にどう
 感じさせるか誠に興味深い。更にはワキ・囃子方・地謡や子方の出来が、一層曲趣
 に情味を添える。

 そのポイント箇所は三つある。一つは狂女の登場と渡守の問答場面、次に渡守の舟
 上の哀話語りと狂女の反応、最後は母と吾が子の亡霊との悲しい対面である。

 一つ目のポイント狂女の登場、一ノ松で子を思う心情を吐露し、舞台に入りカケリ
 を舞う。香川の柔らかみのある切ない謡と狂乱の態がよかった、そして渡守との問
 答、香川の抑えた謡と 欣哉の歯切れの良い謡が効果を増した。

 二つ目、舟上の 欣哉の物語が良かった。切々とした語りに聞き入る狂女、その悲劇
 の主を次第に吾が子と悟る過程、渡守に詰め寄り悲嘆に暮れる母。この場面での
 香川の芸 (所作・謡) が、些か地味過ぎて物足りなかった。

 能も劇と考えれば、もっとオーバーな表現があってもよい。確かに 香川は巧い、
 だが、これではお涙頂戴 (この曲に限っては) の域には達せないと思う。

 三つ目、塚の中から聞こえる「南無阿弥陀仏」に母は吾が子の声と確信する。子方
 伊織くんの、透き通った可憐な声が悲しみを増す。この場面での 香川の一連の芸と、
 醸し出す雰囲気は、流石だなと感じ入った。

 子とのすれ違い、茫々とした墓標を眺め、橋掛かりを去って行く 香川の後ろ姿は、
 本曲の悲しみを象徴している。

 囃子 幸弘の笛、終始強い音が鬱陶しかった。地謡は深みがあって調子も揃い、と
 ても良かった。                    上演時間:85分
 

観能記 | 14:30:33

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