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 第四十五回 「桃々会」

 関根祥人七回忌追善能:第四十五回「桃々会」  宝生能楽堂
          平成28年5月4日 (水・祝) 雨のち晴  開演 午後2時〜 終演6時

  能 :「松 風」・半能 :「 融 」  狂 言:「二千石」  他 連吟1番・仕舞8番
   見 所:満 員 (480)

 閑祥会・関根祥六 主催、祥の会 後援、観世宗家 補佐の「桃々会」公演で、平成22年6月4日
 50歳で逝去された 関根祥人師 (祥六師 子息・祥丸師 父) の追善能である。


「松 風」 小 書:見 留
  シテ/海女 松風    観世清和
   ツレ/海女 村雨 関根祥丸
   ワキ/旅の僧 福王茂十郎  アイ/須磨の浦の住人 山本泰太郎
   囃子方/笛 一噌庸二・小鼓 観世新九郎・大鼓 柿原崇志
   地謡/地頭 角 寛次朗 副地頭 岡 久広
      山階彌右衛門・中島志津夫・藤波重彦・清水義也・坂口貴信・井上裕之真
   後見/主 木月孚行 副 観世芳伸

   典拠:古今和歌集(在原行平和歌)・源氏物語(須磨の巻)など 能柄:三番目本鬘物
   季節:秋 作者:世阿弥改作

  「熊野・松風に米の飯」と言われるように、名曲であり人気曲である。海女 松風が主役だ
  が、妹役 海女 村雨も重い役。宗家と若い内弟子との共演で、いやが上にも見所は昂る。

  家元 観世清和は、昭和34年5月生れの57歳、技量・力量ともに優れ あぶらの乗りつつ
  あるシテ役者。内弟子 関根祥丸は、平成5年5月生れの弱冠23歳、今春芸大を首席で卒
  業した。資質にも恵まれ、近時進境が著しい。

  前段、汐汲み女の出立ちで 松風・村雨が登場。清和の貫禄ある謡、祥丸の歯切れのよい
  謡が素晴らしい。更に、二人の連吟が場面を盛り上げた。月光の下、汐汲みの所作が美し
  かった。

  中段、松風・村雨とワキ旅僧 福王茂十郎との問答。茂十郎の、深みのある落ちついた謡と
  態度が光った。また、シテとツレの連吟も、祥丸の師に気後れしない謡が気持よかった。
  物着では、後見二人が烏帽子・長絹を着ける。装束の着替えが、ひとつの見せ場となった。

  後段、松風は、狂乱状態となって「中之舞」を舞う。そして、「破之舞」。小書 見留に
  より、松を見込み松の前を廻る型となる。清和の、シテの情感を載せた舞が切なかった。
  師弟コンビの名舞台、泉下の 祥人師も さぞお喜びであろう。
                               上演時間:100分


「 融 」(半 能)
  シテ/融の大臣の亡霊    関根祥丸
   ワキ/旅の僧 殿田謙吉
   囃子方/笛 寺井宏明・小鼓 亀井俊一・大鼓 大倉栄太郎・太鼓 観世元伯
   地謡/地頭 関根知孝 副地頭 武田尚浩
      津田和忠・藤波重孝・岡庭祥大・角 幸二郎・木月宣行・高梨万里
   後見/主 寺井 栄 副 上田公威

   典拠:古今和歌集・今昔物語 (融大臣の説話) 能柄:五番目貴人物 季節:秋
   作者:世阿弥

  半能は、前場を省略し後場の僧の名乗りから始まる。融大臣の「早舞」が、眼目となる。

  祥丸の、月の都に居わす父に捧げる舞である。若々しい貴公子姿の 祥丸、月光下 気品
  高い雰囲気が舞台を包む。

  祥丸が、伸びやかでゆったりとして楽し気な舞を見せてくれた。23歳、この若さで際立
  つ謡と舞の上手さ。将来、能楽界を背負って立つ逸材である。
                               上演時間:30分




観能記 | 14:37:26
  円満井会 定例能

 円満井会定例能  矢来能楽堂
       平成28年4月30日(土) 晴  開演 午後12時30分〜終演 5時5分

  能 :「放下僧」・「東 北」・「 乱 」  狂 言:「酢 薑」
   見 所:満 員 (280)

 (公社) 金春円満井会主催の四月定例能で、能3番、狂言1番、仕舞6番の上演。


「放下僧」
 シテ/小次郎の兄   井上貴覚     
  ツレ/真木野小次郎  林 美佐
  ワキ/刀禰の信俊  野口能弘    アイ/信俊の家人  宮本 昇
 囃子方/笛 栗林祐輔・小鼓 鵜澤洋太郎・大鼓 亀井洋佑
 地謡/地頭 高橋 忍 副地頭 金春穂高
     本田芳樹・本田布由樹・後藤和也・渡辺慎一・中村昌弘・太田直道
 後見/主 辻井八郎 副 村岡聖美

  典拠:未詳 能柄:四番目物 所:武蔵 瀬戸三島 季節:秋九月 作者:宮増とも

 兄弟二人で、父の仇敵を討つ物語り。敵を欺くため放下・放下僧 (大道芸人) となり、芸尽
 くし (曲舞・羯鼓・小歌) を演じ、敵の油断に乗じて望みを果たす。

 シテ兄役の 貴覚は、声量があり生真面目な芸風。ツレ弟役は女流の 美佐で、型はなかなか
 キレがあった。だが、両者の仇敵を討つ激しさは、残念乍ら舞台に表われなかった。

 貴覚とワキ 能弘との問答・掛合いは、やや迫力でワキに押された感あり。芸尽くしのクセ
 舞・羯鼓の舞では、キリッとした面はあったが、もう少し軽やかさが欲しかった。

 若手の 美佐、一生懸命さが好感持てた。だが、やはり女流特有の謡の細さ、どっしり感の
 ない型は、敵討ちと言う役柄には少々不適合であった。
                                 上演時間:65分


「東 北」
 シテ/前 里女・後 和泉式部の霊   山井綱雄
  ワキ/旅僧  森 常好   ワキツレ/舘田善博・野口琢弘
  アイ/門前の者  善竹十郎
 囃子方/笛 内潟慶三・小鼓 鳥山直也・大鼓 國川 純
 地謡/地頭 本田光洋 副地頭 吉場廣明
     本田芳樹・金春憲和・荻野将盛・中村一路・本田布由樹・大塚龍一郎
 後見/主 横山紳一 副 中村昌弘

  典拠:未詳 能柄:三番目・本鬘物 所:都 東北院 季節:春1月 作者:世阿弥とも

 シテ 綱雄が、謡・舞・型に、そして雰囲気に、持てる技量・力量を発揮して、佳い舞台を
 見せてくれた。最大の見せ場、クリ・サシ・クセから「序之舞」は、流れるように滑らか
 で優美な舞であった。

 ワキの 常好・アイの 十郎と、芸達者の存在も大きかった。しかし、期待した地頭 光洋の
 地謡陣は、若手が多かったせいか今ひとつ盛り上がらなかった。

 もっと残念なのは、笛 慶三の情緒・情感の欠けた音色である。ベテラン大鼓の 純、若手の
 小鼓 直也が頑張っただけに、笛の拙さが折角の「序之舞」の興を削いだ。
                                 上演時間:90分


「 乱 」
 シテ/猩々   柏崎真由子
  ワキ/高風  森 常太郎
 囃子方/笛 小野寺竜一・小鼓 幸 信吾・大鼓 安福光雄・太鼓 大川典良
 地謡/地頭 深津洋子 副地頭 岩松由美
     大澤久美子・村岡聖美・本屋禎子・安達裕香・林 美佐・中野由佳子
 後見/主 金春安明 副 金春憲和

  典拠:未詳 能柄:五番目・本祝言物 所:唐土 揚子の里 季節:秋九月 作者:不詳

 シテの 真由子始め、地謡陣は全て女流が勤めた。確かに謡いは迫力に欠けたが、若手・
 真由子の猩々の舞「乱」はなかなかよかった。

 赤尽くめの猩々が、笛・大小鼓・太鼓の変化ある囃子に乗り、乱レ・流レ足など激しい舞の
 所作が続く。やや息が上がったようだが、よく最後まで頑張り通した。見事!
                                 上演時間:45分


「酢 薑」(狂言)
 シテ/酢売り  大蔵吉次郎   アド/薑売り  榎本 元

 酢売りが「ス」、薑売りが「カラ」の付いた語を張り合う。が、最後は両人の、笑い留め。

 吉次郎・元とも常に大音声の狂言だが、今日は張り合う話しだけに異常な怒鳴り声。狭い見
 所では、聴くに耐えない面も。
                                 上演時間:15分






観能記 | 10:13:03

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