「一字 一句」
   
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巨星堕つ! 片山幽雪師 逝去

 片山幽雪師 逝去

  文化功労者・日本芸術院会員で人間国宝の 片山幽雪師(観世流シテ方・京都在住) が、13日敗血症で
  亡くなられた。(享年84) 九世 片山九郎右衛門 (本名 片山博太郎)、銕仙会の観世華雪・雅雪に師事。

  母は京舞の四世 井上八千代、長女は五世 井上八千代 (銕仙会現当主 観世銕之丞の妻)、長男は十世
  片山九郎右衛門、孫に 清愛 (子方) がいる。

  私は、幽雪師のシテ舞台を14度拝見している。最も印象に残る舞台は、平成25年5月29日の、国立
  能楽堂開場30周年記念の特別企画公演「関寺小町」である。老女物の秘曲「関寺小町」、国立能楽堂
  の開場から、30年目にして初めての上演という。

  当日の「能 観まんま」から、観賞記録と感想を紹介して、幽雪師のご冥福をお祈りしたい。


  「関寺小町」
    シテ/小野小町 (老女) 片山幽雪   
     子方/関寺の稚児 片山清愛
     ワキ/関寺の住職 宝生 閑  ワキツレ/従僧 宝生欣哉・則久英志・大日方 寛
     囃子方/笛 藤田六郎平衛・小鼓 大倉源次郎・大鼓 山本哲也
     地謡/後列 地頭 梅若玄祥 副地頭 片山九郎右衛門 観世喜正・梅田邦久
        前列 山崎正道・味方 玄・味方 團・角当直隆
     後見/主 観世清和 副 大槻文蔵 青木道喜 

   能柄:三番目・老女物 所:近江・関寺 季節:秋・七月 作者:世阿弥
   作り物:大小前・藁屋 (横桟に短冊)

  老女物五曲 (関寺小町・檜垣・姨捨・鸚鵡小町・卒都婆小町) の中でも、最奥の秘曲と言われる
  「関寺小町」。今までに、4度 (梅若万三郎・今井泰男・観世清和・金春安明) 観てきた。

  能楽界の重鎮で人間国宝の、片山幽雪 (82才)・宝生 閑 (79才) の共演である。また、三代 (幽雪・
  片山九郎右衛門・清愛)、父子 (閑・宝生欣哉) の貴重な共演舞台でもある。

  囃子方は名手ばかり、地謡も 玄祥・九郎右衛門の他 実力者を揃えた。後見座には、清和宗家・
  文蔵らが付いた。清和は、前段の大半を、作り物の藁屋 (シテが着座している) の直ぐ後方に控え、
  幽雪の一挙手一投足を注意深く見守った。

  関寺の住職らが稚児を伴い、歌道を極めたと言う老女を尋ねる。藁屋の老女は、老残の境遇を嘆
  きながら、和歌の心得を説き懐旧の心を顕わす。

  藁屋の引き廻しが下ろされると、中には 幽雪が静かに着座している。閑が柔らかみのある謡で
  問いかけると、幽雪がとつとつとした謡で応える。だが、残念ながら 幽雪の調子が今ひとつ上
  がらず、後ろに控えた 清和が再三助け舟を出す。

  老女の正体が小野小町の成れの果てと判ると、僧は小町を七夕祭りに誘い出す。渋る小町だが、
  僧の助けを借り杖にすがって藁屋を出る。祭りの童舞を見ていた小町、次第に気分が高揚して、
  自らも杖をつき扇を持って舞 (「序之舞」) を舞い始める。

  中段ころからが 幽雪の真骨頂、〈藁屋で立上がり、出てのハコビ、そして舞い〉を、老体その
  まま自然体の姿で演り遂げる。正直なところ、前段は 幽雪をはらはらして観ていたが、クリ・
  サシ・クセ 以降、気力横溢して正に名人芸を見せてくれた。

  「序之舞」は凡そ20分余、途中シテ柱を背にして座り込む (休息)。その姿が、小さく、愛らし
  く、そして品もあって … 。隅々まで魅せてくれる、幽雪の至芸に酔った。

  終曲、橋掛りをこつこつと杖を鳴らして去る 幽雪に、「いつまでも、お元気で」と、思わず心
  の中で呟いた。(上演時間 105分)
                            (平成25年5月31日 記)






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