■最近の記事
■月別アーカイブ
■カテゴリー
■ブログ内検索

■RSSフィード
観能10年10カ月から

  (その12)
 
 武田文志の「紅葉狩」

  武田文志 (昭和52年生れ 37才) は、観世流の実力者 武田志房の次男で、兄に 友志 (長男 章志は子方)、
  従兄弟に 武田宗典、義兄に太鼓の 小寺真佐人がいる。また、武田宗和 (宗典の父) は伯父、武田尚浩
  (長男 祥照・次男 崇史)も縁戚関係にある。

  文志・宗典らが中心となって、平成20年12月に「七拾七年会」を立ち上げた。メンバーは6人で、他
  に、太鼓の 真佐人・大鼓の 原岡一之・小鼓の 住駒充彦・狂言の 山本則重らがいる。何れも生れが、
  1977年 (昭和52年) 前後の同年代。活動七年目の今年1月、第九回特別公演を開催し盛況であった。

  文志は生来能楽師としての資質に恵まれ、将来を嘱望された若手だが、平成25年10月白血病を発症し
  入院した。しかし、短期間の闘病で復帰、現在は万全だとは言えないが、舞台に積極的に出演してい
  る。

  平成18年8月26日 第二十回「花影会」、文志 28才の時の「紅葉狩」の舞台である。


   シテ:武田文志  ツレ:武田宗典・坂口貴信・坂井音隆
   ワキ:大日方 寛  アイ:山本則秀・山本則重
   笛:竹市 学 小鼓:観世新九郎 大鼓:亀井広忠 太鼓:小寺真佐人
   地頭:岡 久広  主後見:武田尚浩

  舞台上に、次代を背負う俊英達が勢揃いした。シテ 文志は勿論、ツレの 宗典 (27才)・貴信 (29才)・
  音隆 (30才)、ワキ 寛 (38才)、アイ 則秀 (26才)・則重 (28才)、笛 学 (34才)・小鼓 新九郎 (41才)・
  大鼓 広忠 (32才)・真佐人 (28才) ら、そうそうたる顔ぶれである。

  きびきびとした舞台展開で、観ている方も気分爽快である。威勢が良過ぎて、上滑りは戒めるべきだ
  が、こんな能があってもよい。色仕掛けで維茂を籠絡させる、文志の艶かしさは尋常ではない。
                              (平成18年8月27日 記)





10年10カ月 | 17:20:44
観能10年10カ月から


   (その11)

  中村昌弘の「自然居士」

   金春流の 中村昌弘 (昭和53年生れ 36才) は、山井綱雄に次ぐ流儀のホープと言ってよい。昌弘は、
   中央大学法学部を出て、平成13年23才で能楽師となった。彼の猛練習振りは有名で、相応の資質
   も備えているので将来が楽しみだ。
   昌弘のシテ舞台は、平成16年「舟弁慶」18年「黒塚」21年「芦刈」「乱」23年「葵上」24年
   「鵜飼」「邯鄲」25年「自然居士」26年「巴」「鵺」と観てきた。経験を積む毎に、着実に地力
   を付けてきている。
   彼の後援会も結成され、いよいよ今年4月25日「金春流能楽師 中村昌弘の会」を立ち上げる。
   公演の曲目は「融」小書:クツロギで、大いに期待したい。

   平成25年10月6日、金春会定期能 (国立能楽堂) での、「自然居士」の舞台である。


    シテ:中村昌弘   子方:那須 空  
    ワキ:福王和幸 ワキツレ:村瀬 慧  アイ:野村太一郎
    笛:藤田貴寛 小鼓:住駒充彦 大鼓:安福光雄
    地頭:高橋 忍  主後見:横山紳一

   流儀の若手で元気者 中村昌弘 (35才) の、気合いの入った好舞台であった。加えて、子方を始め
   全三役が素晴らしい働きをした。空ちゃんは、昌弘の小さなお弟子さんだが、姿勢もよく端正な
   雰囲気は、親思いの童女の役割にぴったりであった。

   和幸・慧の人商人コンビが、迫力ある問答と所作で緊張感を盛り上げた。太一郎が、ぐんと成長し
   た演技を見せた。囃子方も地謡陣も、気が入り生き生きとしていた。

   昌弘の常は終始声高に謡うが、今日の舞台では緩急・抑揚を付けて、劇的能をしっかりと演じた。
   欲を言えば、もう少し詞章を明瞭に謡いたいが、型や舞は修錬を積んだ成果が現れていた。
                              (平成25年10月8日 記)





10年10カ月 | 13:34:17
観能10年10カ月から

  (その10)

 味方 玄 の「井 筒」

  京都在住の 玄は、昭和41年生れの48才。観世流の名門・京都片山家一門で、父君は 味方 健師
   (能楽師・能楽研究者) である。本年1月13日に逝去された 片山幽雪師に、内弟子時代から可愛
  がられ、稽古で鍛えられた。玄の端正な芸風は、幽雪師の愛情ある指導の賜物である。

  平成20年7月12日、玄が主宰する 第18回「テアトル・ノウ」東京公演での、名曲「井筒」の
  舞台である。



   シテ:味方 玄  ワキ:宝生 閑  アイ:茂山七五三  
   笛:一噌仙幸 小鼓:成田達志 大鼓:亀井忠雄
   地頭:片山清司 (註:現 片山九郎右衛門)  主後見:清水寛二

  シテ (里の女・紀有常の娘の亡霊) を演じる 玄は41才の若手で、謡や舞の技量に優れ、高い身体
  能力と鋭い感性を持つ。東京公演は昨年秋に続き二回目で、観世流の期待する能楽師のひとりで
  ある。

  この齢で、「井筒」をこれほど美しく舞える人は珍しい。基礎が、しっかり出来ているからで
  あろう。だが、少々気になったことがあるので記しておく。

  終曲近く、地が「 〜 昔男の冠直衣は、女とも見えず男なりけり、業平の面影」と謡うと、シテ
  が袖を返してススキを押しやり、井筒を見込む。この一連の所作が、やや雑であったこと。

  次いで、大鼓がひとつ強く打つと、ここに一瞬の静寂と緊張感が広がる。が、それらが見られず、
  その結果、立ちのぼるシテの激情が希薄に感じられたことである。
                           (平成20年7月14日 記)





10年10カ月 | 15:20:11
観能10年10カ月から

   (その9)

  佐野 萌の「羽 衣」

   この曲は、能の代表的な曲で且つ人気曲、上演頻度も極めて高い。私の観能暦10年10カ月で、
   37回観てきた。宝生流の長老 佐野 萌 (故人 平成21年逝去 享年81) が、平成20年2月10日
   「宝生会月並能」で舞った「羽衣」が印象深い。



    シテ:佐野 萌  ワキ:野口敦弘 ツレ:野口能弘・野口琢弘
    笛:一噌仙幸 小鼓:曽和正博 大鼓:安福建雄 太鼓:金春惣右衛門
    地頭:三川 泉 主後見:渡邊荀之助

   これまで、「羽衣」を11回観てきたが〈これぞ「羽衣」〉と言う舞台に、お目にかかった
   ことがない。だが、今日の 萌の舞台を観て大いに満足した。

   現在の宝生流は、英照宗家が平成18年に実質引退 (註:平成22年4月1日逝去 享年52) して、
   長老と言われる、三川 泉 (人間国宝・86)、今井泰男 (87)、近藤乾之助 (80)、佐野 萌 (80)
   らが引張ってきた。

   私自身、萌の舞台はあまり回数観てないが、17年9月に観た老女物の「姨捨」が強く印象に
   残る。自然体で演じる、巧い役者だなあと思った。
   
   小書に盤渉が付いて、「太鼓盤渉序之舞」が演じられた。大きな袖を羽のように広げ、大空
   で羽ばたく鳥のように軽々と舞った。その天女の出立は、黒地紅入縫箔腰巻に薄黄色の舞衣、
   月輪の天冠を着け、面は宝生名物「泣増」を掛ける。舞台に映えて、実に美しい。

   囃子方は超一流の面々、地謡は地頭 泉始め実力者ばかりで構成。ワキ 敦弘の弱さが懸念され
   たが結果は吉と出て、シテを盛り立て勢いつかせた。全体に、調和の取れた好舞台であった。

                            (平成20年2月13日 記)





10年10カ月 | 09:08:49
観能10年10カ月から

  (その8)

 友枝昭世の「隅田川」

  故 片山幽雪師のご逝去もあり、暫く中断していた〈観能10年10カ月から〉、印象に残った舞台を
  紹介する。平成22年(2010)12月11日の、能楽協会主催「ユネスコ能」第三回公演、 友枝昭世の
  「隅田川」である。
  昭世は、喜多流職分会の代表で人間国宝 (平成20年認定)、人気・実力とも能楽界の最高峰。今迄
  45回のシテ舞台を観てきたが、不出来と言う舞台は皆無である。だが、如何なる名優でも曲種・
  曲柄により、得手不得手はある。
  名曲「隅田川」の 昭世の舞台は、平成19年1月24日と、紹介する22年12月11日の2度観ている。


  
   シテ:友枝昭世  子方:友枝大風  ワキ:森 常好  ワキツレ:舘田善博
   笛:一噌仙幸 小鼓:曽和正博 大鼓:安福建雄  地頭:粟谷能夫 主後見:香川靖嗣

  主人公は、我が子梅若丸を人商人に攫われて心乱れた母 (狂女) である。遥々都から我が子を尋ね
  て、東国隅田川に辿り着く。だが、母の前に現れたのは梅若丸の亡霊であった。大小前に、小さ
  な作り物の塚を出す。

  昭世 (昭和15年3月24日生れ 70才) の「隅田川」は、3年程前に1度観ている。
  その時の印象は、「何とも不満が鬱積する舞台であった。昭世の芸が完璧で美し過ぎて、観る者
  の胸に打つものがなかったのだ。悲劇のドラマ (観客は皆そう思っている) であれば、もう少し
  泥臭い演技があってもよさそうなものだ」であった。

  能劇も、あまりリアル感を出し過ぎると能で無くなる。だが、今日の 昭世は、母の真情を美しく
  昇華させ、観る者をぐいぐいと舞台に引きつけた。1度目の舞台とは異なり、心に響く正に名演
  技であった。(上演時間80分)
                            (平成22年12月11日 記)





10年10カ月 | 09:25:23
観能10年10カ月から

   (その7)

   柴田 稔の「隅田川」

    平成19年10月24日(水)、銕仙会能楽研究所「銕仙会青山能」での名曲「隅田川」の公演。
    観世流の中堅処、稔 (当時50才) の舞台である。大学出の能楽師で、昨年11月に舞台生活
    30周年記念で「道成寺」を舞った。「隅田川」は、今迄通算37回観てきたが、稔の舞台は
    12回目に当る。
    

     シテ:柴田 稔  子方:後藤真琴  ワキ:宝生欣哉  ワキツレ:大日方 寛
     笛:内潟慶三 小鼓:大倉源次郎 大鼓:国川 純 地頭:浅井文義 主後見:山本順之

    名曲中の名曲で人気曲だが、母子再会を果たせない悲劇の能である。名手が演じると、多
    くの観客が目頭を抑える。名手・名人でなくても、演じ方によっては観る者の心を打ち、
    涙腺を弛ませる。今日の 稔は、見事にそれを実証した。

    幕からの出は酷かった。緊張のためか 稔の謡はうわずり、狂い笹を持つ右手は異常に震え、
    ハコビもぎごちなかった。目深に被った笠が揺れ、当方もはらはらした。
    それを救ったのが、ワキ 欣哉の重厚でゆったりとした受け。地謡陣も、しっかりと支えた。
 
    渡守の語り、「父の名字を尋ねて候へば、我は都北白川に吉田の何某と申しし人の … 」で
    狂女は、その子が探し求める我が子だと覚る。稔の、作らない自然の所作が、効果的に働
    く。緊張の震えが、却って母の悲しい心情を増幅させた。その時 稔は、演技を超えて、
    愛児を失った悲劇の母、そのものであった。

    以降の 稔は、前段の不出来を超えて、独壇場の名舞台となった。子方も愛らしかった。
    思わず胸が熱くなった。
                           (平成19年10月27日 記)





10年10カ月 | 11:10:24
観能10年10カ月から

  (その6)
    
  鵜澤 光の「葵 上」

   平成25年3月8日(金)、観世流・銕仙会定期公演での舞台。四番目鬼女物の「葵上」は、通算
   41回観てきたが、女流能楽師がシテを勤めたのは 光だけ。母親の 鵜澤 久は、女流の第一人者
   として定評があるが、若い 光も成長株である。


    シテ:鵜澤 光  ツレ:観世淳夫  ワキ:舘田善博  ワキツレ:森 常太郎
    アイ:山本則俊  笛:藤田次郎 小鼓:田邊恭資 大鼓:柿原光博 太鼓:梶谷英樹
    地頭:清水寛二 副地頭:西村高夫  主後見:山本順之 副後見:鵜澤 久

   光は、25年12月23日の「鵜澤 雅十七回忌追善能」で、大曲「道成寺」を舞う (披キ)。その
   ためにも、「葵上」を舞っておきたいと言う。気合い充分、迫力ある素晴らしい舞台を見せて
   くれた。

   般若の面を掛ける曲は、「安達原 (黒塚)」「葵上」「道成寺」だけ。昨年9月に、「安達原」
   を観たので、「葵上」を観ればアトは「道成寺」だけ。12月の披キが楽しみである。
 
   今日の舞台では、5人の次世代のホープが共演した。光の他、ツレ 淳夫、ワキツレ 常太郎、
   小鼓 恭資、大鼓 光博らである。

   光は、謡にしても型や所作にしても、女流を感じさせない力強さがある。淳夫は未だ20才、資
   質は十分にある。常太郎は姿態がよく、芸も徐々に向上している。恭資は、師の 源次郎に増々
   似てきた。光博の掛け声は父の 崇志似、打音の強さは兄 弘和に近づいた。
   彼ら若手が、年々成長して行くのが判り嬉しくなる。
                            (平成25年3月10日 記)





10年10カ月 | 08:15:41
観能10年10カ月から

   (その5)

   高橋憲正の「清 経」

    平成25年9月14日(土)、宝生流九月「五雲会」公演での舞台。
    憲正は、金沢市出身昭和51年生れの38才。宝生宗家の内弟子を経て、平成19年に独立した
    若手精鋭。東京芸大では、坂口貴信 (観世流) と同期で親友同士。産經新聞の「花形出番で
    す」(26.11) にも登場 (貴信は、26.4 登場)。両者とも、次代の能楽界を背負って立つ逸材。

 
     シテ:清経の妻 憲正  ツレ:清経の妻 朝倉大輔  ワキ:淡津の三郎 福王和幸
     笛:槻宅 聡 小鼓:飯冨孔明 大鼓:亀井洋佑  地頭:金森秀洋 副地頭:東川光夫
     主後見:小林与志郎 副後見:朝倉俊樹

    若手実力者の 憲正、期待に違わず良い舞台を見せてくれた。芯のあるしっかりとした謡、
    柔らかみのある型と所作、日頃の修錬が舞台の上に出ている。

    妻役ツレの 大輔 (22才)、謡が一本調子で明瞭さを欠くが、なかなかの健闘である。長い
    下居姿が崩れず美しかったが、終演で幕へのハコビが粗雑であったのはよくない。
                           (平成25年9月16日 記)





10年10カ月 | 09:05:30
観能10年10カ月から


  (その4)

    大島輝久の「道成寺」

     「道成寺」の披キは、若手能楽師の登竜門と言われる。披キ物として他には、「石橋」
     「猩々」「翁」がある。22.10.31「大島久見七回忌追善能」で、久見師の孫 大島輝久が
     「道成寺」を披いた。


     「道成寺」大島輝久、ワキ 宝生欣哉 他、アイ 野村萬斎 他、囃子 杉 信太朗・飯田清一・
          亀井広忠・助川 治、地頭 粟谷能夫 他、主後見 高林白牛口二 他、主鐘後見
          塩津哲生 他

    33才の 輝久は、能役者としての姿態に恵まれ、謡や舞に非凡なセンスと才覚を持つ。流儀
    の期待の星だが、能楽界の将来を担う役者のひとりでもある。
    前段の、最大の見どころは乱拍子。小鼓は幸流の 清一、気迫や短めの掛け声は悪くないが、
    些か間が長過ぎた。その結果、乱拍子・乱拍子謡・急ノ舞から鐘入りまで45分掛った。乱
    拍子だけでも30分、見所の緊張感の持続が限界を超えている。全体の上演時間125分は、
    やはり長過ぎる。
    しかし乍ら、輝久の出来映えは素晴らしく、大曲「道成寺」の初演としては、実に完成度
    の高い舞台であった。            
                           (平成22年11月1日 記)



    金剛永謹の「道成寺」

     「道成寺」はベテランが勤めると、舞台や見所の雰囲気がガラリと変わる。25.11.1
     金剛宗家が演じた「道成寺」は、金剛流しかない「古式」の小書付で、国立能楽堂特別
     企画公演である。当然ながら、若手の披キとは一味違った趣きがあった。
     
     
     「道成寺」金剛永謹、ワキ 福王茂十郎 他、アイ 山本東次郎 他、囃子 藤田六郎兵衛・
          大倉源次郎・亀井広忠・観世元伯、地頭 宇高通成 他、主後見 廣田泰三 他、
          主鐘後見 金剛龍謹 他

    金剛宗家は62才、大柄の体躯でゆったりとした舞に特徴がある。古式の演出は、面は前
    シテが孫次郎、後シテは般若で赤頭を着ける。乱拍子は、8段から6段に縮められ、「柱
    巻キ」は、常座側から橋掛りの方へ巻き乍ら唐織を脱ぎ捨てた (鱗落シ)。
    永謹の乱拍子、鐘入り、僧との戦いなどは、スピード感や体のキレが乏しかった。だが、
    しっかりとした型に安定感があり、これぞ白拍子変じて鬼女と言う、能柄に相応しい舞台
    であった。
                           (平成25年11月2日 記)





10年10カ月 | 09:08:21
観能10年10カ月から

    (その3)

     観世清和の「 翁 」

     「翁」鑑賞49回の内、23.02.20に国立能楽堂で開催された、第51回「式 能」第一部である。
     毎年、シテ方五流が順番に「翁」と脇能を勤めるが、今年の当番は観世流である。


      「翁」観世清和、千歳 片山九郎右衛門、三番三 山本東次郎、面箱 山本則秀
         小鼓頭取 鵜澤洋太郎・古賀裕己・田邊恭資、笛 藤田次郎、大鼓 亀井忠雄
         地頭 武田志房・藤井完治 他、主後見 観世恭秀 他

      私は「翁」が大好きである。観世宗家の翁が素晴らしかった。未だ51才と若く、貫禄は今
      ひとつだが、謡いが朗々として実に清々しい。東次郎の三番三は、揉ノ段の力強さ、鈴ノ
      段の軽やかさが何とも言えない雰囲気。今まで数多く「翁」を観てきたが、全演者の調和が
      一番とれており、誠に心地のよい舞台であった。
                              (平成23年2月22日 記)



     山井綱雄の「道成寺」

     「道成寺」鑑賞44回、若手の能楽師の披キ (初演) の舞台が好きである。17.12.4 金春円満井
     会特別公演で、金春流の 山井綱雄が大曲を披いた。


      「道成寺」山井綱雄、ワキ 工藤和哉 他、アイ 山本東次郎 他、囃子 一噌隆之・安福建雄・
           鵜澤洋太郎・金春国和、地頭 金春安明 他、主後見 高橋汎 他

      32才の 綱雄は、流儀の若手のホープで、将来最も期待出来る能楽師である。「道成寺」の
      披キで、危険と隣り合わせの荒技〈斜め鐘入り〉に挑む。「全ての準備は調い、やるだけ
      の事はやった。全ての答えは舞台でお見せする」と、決意と自信を笑顔で語った。
      結果は、若さが勇躍する、実に見応えのある「道成寺」であった。上演時間120分、全て
      が上手く運んだ舞台と言ってよい。彼にとって、大きな自信になったであろう。
                              (平成17年12月4日 記)





10年10カ月 | 10:23:17
観能10年10カ月から

   (その2)

     曲 目     能 柄      鑑賞数      印象に残った舞台

     羽 衣   三番目精天仙物   37回    20.02.10  佐野  萌 (宝生流)
                            24.01.08  三川  泉 (宝生流)
                            26.02.09  宝生 和英 (宝生流)
                            26.02.16  香川 靖嗣 (喜多流)
   
     井 筒   三番目本鬘物    34回    20.07.12  味方  玄 (観世流)
                            22.12.23  香川 靖嗣 (喜多流)
                            23.09.11  本田 光洋 (金春流)
                            26.01.17  梅若 玄祥 (観世流)

     猩 々 (乱) 五番目本祝言物   29回    20.12.13  佐川 勝貴 (観世流)
                            22.12.05  坂口 貴信 (観世流)
                            23.12.03  金剛 永謹 (金剛流)

     石 橋   五番目本祝言物   27回    21.04.04  香川 靖嗣 (喜多流)
                            25.04.14  小早川泰輝 (観世流)

     融     五番目貴人物    27回    16.11.13  梅若 六郎 (観世流)
                            23.04.03  津田 和忠 (宝生流)
                            23.12.16  友枝 昭世 (喜多流)
                            25.09.19  八田 達弥 (観世流)
                            25.12.11  梅若 紀彰 (観世流)
                            26.03.16  観世 喜正 (観世流)

     邯 鄲   四番目唐物     27回    19.10.13  塩津 哲生 (喜多流)
                            26.05.29  片山九郎右衛門(観世流)
                            26.11.27  山井 綱雄 (金春流)

     三 輪   四番目夜神楽物   27回    19.12.20  片山 清司 (観世流)
                            23.09.14  塩津 哲生 (喜多流)






10年10カ月 | 19:40:51
観能10年10カ月から

  12. 鑑賞した能の曲目

    能の現行曲を、10年10カ月で 234曲観てきた。多い順に並べてみると、その曲の上演回数
    が多いことも然ること乍ら、私の好みの曲とも言える。その曲の、印象に残った舞台等も書
    き添える。


   (その1)

     曲 目     能 柄     鑑賞数       印象に残った舞台

     翁               49回    23.02.20  観世 清和 (観世流)
                            24.02.19  金剛 永謹 (金剛流)
 
     道成寺   四番目鬼女物    44回    17.12.04  山井 綱雄 (金春流) 
                            22.10.03  清水 義也 (観世流)
                            22.10.31  大島 輝久 (喜多流)
                            23.04.02  浅見 真州 (観世流)
                            24.02.26  武田 宗典 (観世流)
                            25.06.16  坂口 貴信 (観世流)
                            25.11.01  金剛 永謹 (金剛流)
                            26.03.02  粟谷 明生 (喜多流)

     清 経   二番目公達物    42回    19.06.18  浅見 真州 (観世流)
                            25.01.12  大槻 文蔵 (観世流)
                            25.09.14  高橋 憲正 (宝生流)
                            26.10.12  粟谷 明生 (喜多流)

     葵 上   四番目鬼女物    41回    21.04.29  梅若 玄祥 (観世流)
                            23.09.10  狩野 了一 (喜多流)
                            25.03.08  鵜澤  光 (観世流)
                            25.07.19  観世 清和 (観世流)

     隅田川 (角田川)
           四番目狂女物    37回    19.10.24  柴田  稔 (観世流)
                            22.12.11  友枝 昭世 (喜多流)
                            23.07.24  武田 孝史 (宝生流)
                            25.01.27  松木 千俊 (観世流)
                            25.04.12  観世 清和 (観世流)
                            26.02.02  梅若 玄祥 (観世流)
                            26.03.14  山本 順之 (観世流)






10年10カ月 | 21:02:10
観能10年10カ月から

   (その2)

   「能楽ジャーナル」NO.57・58 (2010年1月・3月号)

     「評談 能界展望」ー演能会の動向と実態ー のところに、私の名前が載っている。編集
     委員の 堀上 謙氏 (編集長)、藤田 洋氏、ゲストの 柳沢新治氏、そして 及部和良である。
     編集委員の 村上 湛氏も居られたが、〈村上湛の発言は本人の希望で削除いたしました〉
     とある。この座談会の収録の時、一寸したハプニングが生じた。収録の始まる前、村上
     氏が私の顔を見るなり激高されたのだ。その内容を私が語ると誤解を生じるので、公表
     された 堀上編集長の記事 (「能楽ジャーナル」NO.57 2010年1月号)を載せる。
     なお、私はこの件に関して静観の立場を取り、当時の「能 観たまんま」にも、一切の
     本件事象を記載していない。


    能界情報 おもてうら「泣いて馬謖を斬る」  堀上 謙
     
     村上湛君が昨年一杯 (註:2009年末) で本誌の編集委員から抜けた。本人の意志なの
     で、敢えて慰留はしませんでしたが、作今の彼の能評や発言に謙虚さが欠けることも
     気になっていたからでした。しかし、まさに「泣いて馬謖を斬る」(註:広辞苑;規律
     を保つためには、愛する者をも止むを得ず処分する意) の心境です。
     彼は10年近く、本誌の能評を担当、評談にも委員として参加してきましたので、当然、
     読者や周辺から、〈何故〉なのかという質問やその理由を尋ねる問い合わせが届くこ
     とは必定です。そこで、私から 田村君 (村上湛の本名) に出したメールの全文を本欄に
     掲載して、その前後の事情と背景を理解していただくことにします。

    親愛なる 田村良平君
     冷静になったと思うので、反省を求めてこのメールを啓上する。先日の「評談」の    
     あと、及部氏には当日の非礼を同世代の息子を持つ親の心情で詫びておきました。
     貴君からも「お詫び」をしておいてほしいと思います。
     ご存知のように、及部氏は老生が「評談」のゲストとしてお招きした人です。観能
     暦こそ6年と浅いが、年に平均200番、すでに1,200番以上を自費で各会の催しを
     見ており、その印象記や感想を全部、日記やブログに記録している観客として希有
     な人です。すでに年齢は古稀を超えていますが、某銀行の支店長や傍系会社の役員
     を歴任、リタイヤ後は趣味の油絵 (個展を2回開催・私も見ています) や能観賞三昧
     に日常を送っている人です。その間、老生が講師を勤める早稲田のオープンカレッ
     ジに4年、「能に親しむ会」に2年、その他様々な能楽講座やワークショップにも
     参加 (貴君の講座にも) しています。また各演能会の動向も、記録をとりデータを
     つくり通じています。これは普通の愛好者にはできないことです。柳沢氏も彼の記
     録やデータが参考になるからと、提供してほしいと要望していました。
     ですから、今回の評談「演能会の動向と実態」というテーマには、観客代表として
     発言してもらうに適任と判断して、出席を要請したわけです。
     にもかかわらず、貴君は席につくなり、同じテーブルにつけないと及部氏を忌避し
     ました。その理由として「ブログに匿名で能の感想を書いている」「自分は及部氏
     の出席を知らなかった」と述べましたが、さらに「私は帰らせてもらいます」とま
     で言いました。私はそれでは「帰りなさい」と言いましたが、結局、貴君は藤田さ
     んのブログについての質問もあって最後まで帰りませんでしたね。何が気に入らな
     かったのですか? 素人がブログに能評めいたことを書くことが生意気だと思ったの
     ですか? 初対面の年長者に対しての態度としては礼を失しているのではないでしょ
     うか。能評家はそんなに偉いのでしょうか。
     ところで、貴君にお尋ねしたいのですが、藤田さんも聞きましたが、何故匿名 (と
     いってもペンネームと同じようにハンドルネームがあります) でブログに観能の感
     想や印象を書くことが悪いのですか? 言論の自由、表現の自由を認めないのです
     か? 私は、「能楽ジャーナル」で貴君に自由に発言させたり、書かしたりしてい
     ます。
     「評談」のゲストについては、編集長である私が決めることで、以前から貴君には
     特別に配慮して事前に知らせてましたが、他の委員はほとんど知らないことが多く、
     またいちいち了解をとることではありません。何か勘違いをしているのではないか
     と思います。
     及部氏は貴君の剣幕に驚いて、「それでは私が帰ります」と言いましたが、私が止
     めました。彼は反論しようと思ったが、と後で語ってましたが依頼者の老生に遠慮
     して身を引いたそうです。温厚な人柄であり、大人の判断だったと思います。それ
     でなければ口論になり、あの場が荒れたことだろうと想像できます。
     それにつけても、貴君の言動は、誰がみても失礼な態度でした。「君は何様のつも
     りでいるのか」と、私も言いたくなりましたがとどまりました。貴君に満座の中で
     恥をかかせたくなかったからです。
     貴君を「能楽ジャーナル」に起用してから、いままで、評価もさることながら、さ
     まざまな批判や指摘も私のもとに届いてます。しかしその都度、老生は「彼はまだ
     若いから、長い目で見てほしい、その内に変化が出てくるから」と庇い、ガードし
     てきました。しかし、貴君も私の子供たちと同じく、もう五十歳に手の届く年齢に
     なり、いつまでも若いからという弁解はききません。書くものにも人格が出てきま
     す。人間性も含めて評価されるようになると思います。
     この際、やはりはっきり言っておいたほうがよいと思います。「天狗になりすぎて
     いる」「自信過剰である」「無謬 (註:理論・判断などに誤りがない) 主義である」
     「謙虚さがない」などなどがありますが、どうもそれらの集約されたものが、残念
     ながら今回は貴君の態度に出てきたような気がします。自信は必要ですが、やはり
     謙虚さがあっての自信でなければならないのではないでしょうか。賢明な貴君の
     ことだからお分りだと思います。
        平成21年11月21日                 堀上 謙




10年10カ月 | 09:00:04
観能10年10カ月から

  11. 「能楽ジャーナル」のことなど


   (その1)

    能楽界の専門誌(紙) として、毎月発行の「能楽タイムズ」、隔月刊誌「能楽ジャーナル」
    があったが、「能楽ジャーナル」は 2012年 (平成24年) 3月に終刊となった。現在では、
    「能楽タイムズ」と、その年2012年5月に創刊された隔月刊誌「花もよ」がある。
    「能楽ジャーナル」の編集・発行人は 堀上 謙氏で、1994年 (平成6年) 9月の創刊から
    18年の間 (途中休刊1年有り) 務められた。
    主筆の 大河内俊輝氏 (註:2010年11月逝去) の断筆や、堀上氏の高齢化 (1931年生れ)、
    発行部数の大幅減などが廃刊要因とされる。



   新・能楽ジャーナルの復刊第1号は、2000年 (平成12年)9月1日に発刊された。編集委
   員は、堀上 謙、小林保治、馬場あき子、藤田 洋、村上 湛の5氏である。旧・能楽ジャー
   ナルは1994年 (平成6年) 9月の創刊で、爾来2009年 (平成21年) の休刊まで「硬派・
   辛口の能楽情報誌」として、能楽界内外で存在感を発揮してきた。1年の休刊を経て、新
   たに「たちばな出版」が発行元となり復刊を果たした。
   私の能楽初鑑賞は、2004年 (平成16年) 1月16日なので、それ以前の旧・能楽ジャーナル
   や、新・能楽ジャーナルは知る由もない。
   国立能楽堂の売店で、「新・能楽ジャーナル」NO.21と「能楽タイムズ」(能楽書林発行)
   を購入した。ジャーナルは雑誌、タイムズ (毎月発行) は新聞形式になっている。
   ジャーナルは、「能評」「評談・能界展望」「編集者の手帖」などが面白く、初心者に
   とっては大いに参考になる。           (平成16年1月31日 記)



   能楽ジャーナルの 堀上編集長とは、早大エクステーション講習会 (堀上氏が講師) を私が
   受講する事になって交流が深まった。氏の、率直且つ豊富な知識に傾倒している。私も、
   ジャーナル記事の内容などに、積極的に意見などを申し上げている。  
                           (平成18年12月24日 記)




10年10カ月 | 10:20:18
観能10年10カ月から

  (その2)

    能楽関係書籍

   10年余の間に、購入などして集めた書籍が可成りの数にのぼる。本の背表紙の題名を、書き
   上げてみた。これらの図書 (100冊余り) を教科書とし、或いは参考にさせて貰いながら、
   10年10カ月に渡り〈能楽鑑賞の記録と感想〉を書き綴ってきた。新本もあるが、古本屋で
   買い求めたものが多い。中には、贈呈されたものもある。この一覧表が、能楽愛好の方々に、
   ご参考になれば幸いである。


    あらすじで読む 日本の古典    小林保治 編著  新人物往来社  2011年 発行
    粟谷菊生 能語り         粟谷明生 編   ぺりかん社   2007年 発行
    一期初心 能役者森羅万象     観世清和 著   淡交社     2000年 発行
    謡うも舞うも宝生の        佐野萌 著    わんや書店   2006年 発行
    演目別にみる 能装束   観世喜正・正田夏子 著  淡交社     2004年 発行
    大河内俊輝能評集 1       大河内俊輝 著  能楽出版社   1992年 発行 
    お能の見方        白洲正子・吉越立雄 著  新潮社     2003年19刷発行      
    お能・老木の花          白洲正子 著   講談社     1993年 発行   
    面 (おもて) からたどる能楽百一番
          文 三浦裕子・写真 神田佳明・能面 初代堀安右衛門
                            淡交社     2004年 発行

    喝食抄 堂本正樹能劇評論集    堂本正樹 著   ぺりかん社   1993年 発行
    観世寿夫 世阿弥を読む 観世寿夫 著・荻原達子 編 平凡社     2001年 発行
    観世寿夫著作集 一 世阿弥の世界  観世寿夫 著   平凡社     1998年5刷発行
       〃    二 仮面の演技     〃     〃      1998年  〃
       〃    三 伝統と現代     〃     〃      1998年  〃
       〃    四 能役者の周辺    〃     〃      1998年  〃
    間、髪を入れて 能とオーケストラ 星田良光 著  能楽書林    1991年 発行
    狂言観賞二百一番   文 金子直樹・写真 吉越研  淡交社     2005年 発行
    狂言を繋ぐ 山本東次郎の教え   原田香織 編著  三省堂     2010年 発行
    近代能楽集            三島由紀夫 著 新潮社     2004年43刷発行
    芸三代 心を種として 
              関根祥六・広瀬飛一 著  小学館スクウェア  2009年 発行
    幻視の座 能楽師・宝生閑聞き書き 土屋恵一郎 著  岩波書店    2008年 発行
    孤軍奮闘の能楽人生一代記    中森晶三 著   伝統芸術産業  2001年 発行  
    小袖と能衣装           野間清六 著   平凡社     1967年 発行
    駒札百三十三番を立てる     謡曲史跡保存会         2011年 発行
    これならわかる 能の面白さ 
              林望 著・森田拾史郎 写真   淡交社     2006年 発行
    近藤乾之助 謡う心、舞う心    藤沢摩彌子 著  集英社     2005年 発行
    金春禅竹の世界          松岡心平 編   森語社     2005年 発行

    自選 能英樹画集         能英樹 著    アート社    1981年 発行
    昭和能楽黄金期    山崎有一郎・三浦裕子 著  檜書店     2006年 発行
    新版 能・狂言事典    西野春雄・羽田昶 編   平凡社     2011年 新版発行
    新・能のふるさと        朝日新聞社 編  朝日新聞社   1964年 発行
    新「ノー」と言わない能      村木泰仁 著 能楽ジャーナル社 2000年 発行
    すぐわかる 能の見どころ     村上湛 著    東京美術    2007年 発行
    すらすら読める 風姿花伝     林望 著     講談社     2003年 発行
    世阿弥を語れば          松岡心平 編   岩波書店    2003年 発行
    総特集 白洲正子         西口徹 編  河出書房新社   2002年2刷発行

    日本の名随筆「能」        観世榮夫 編   作品社     1999年8刷発行
    沼艸雨能評集           沼艸雨 著    檜書店     1967年 発行
    能 NOH    文 高橋睦郎・写真 森田拾史郎  ピエ・ブックス  2004年 発行
    能界情報おもてうら        堀上謙 著    能楽書林    2014年 発行
    能楽ジャーナル (創刊1号〜終刊70号)
                     堀上謙 編集  たちばな出版   2000年
                                     〜2012年
    能楽師の素顔           武田志房 著   三月書房    2012年 発行
    能楽大事典     小林責・西哲生・羽田昶 著  筑摩書房    2012年 発行
    能楽展望             堀上謙 著   たちばな出版   2002年 発行        
    能楽ハンドブック 戸井田道三 監修・小林保治 編  三省堂    2008年 発行
    能楽囃子方五十年 亀井忠雄聞き書き
               土屋恵一郎・山中玲子 著  岩波書店   2003年 発行
    能楽万華鏡        大河内俊輝 著  能楽ジャーナル社  1998年 発行
    能鑑賞二百一番    文 金子直樹・写真 吉越研  淡交社    2008年 発行
    能・狂言図典     小林保治・森田拾史郎 著  小学館    2003年3刷発行
    能・狂言の音楽入門       三浦裕子 著   音楽之友社  2000年3刷発行
    能・狂言の見方楽しみ方     柳沢新治 著   山川出版社  2012年 発行
    能 狂言鑑賞ガイド   羽田昶 監修・吉越研 写真  小学館    2002年3刷発行
    能 狂言 豊橋魚町の面と装束        豊橋市美術博物館  1998年 発行
    能・狂言なんでも質問箱 山崎有一郎・葛西聖司 著 檜書店    2003年 発行
    能・捨心の藝術         櫻間道雄 著    朝日新聞社  1972年 発行
    能 修羅と艶の世界        堀上謙 著    能楽書林   1989年 発行
    NOと言わない生き方       足立禮子 著   三五館    2007年 発行
    能と能面の世界         中村保雄 著   淡交社    1962年 発行
    能にも演出がある        横道萬里雄 著   檜書店    2007年 発行
    能にアクセス          井上由理子 著  淡交社    2003年 発行
    能の女たち           杉本苑子 著   文芸春秋   2000年 発行
    能の集積回路 堀上謙 評論・随筆集 堀上謙 著    伝芸企画   2009年 発行
    能の新世紀 古典〜新作まで 
              梅若六郎 監修・氷川まりこ 文  小学館    2002年 発行
    能の匠たち その技と名品 
             山崎有一郎 監修・明石和美 文  小学館    2001年4刷発行       
    能のちから 生と死を見つめる祈りの芸能
                    観世銕之丞 著  青草書房   2012年 発行
    能の表現 その魅力と鑑賞の秘訣  清田弘 著    草思社    2004年 発行
    能のふるさと散歩(上)京都・奈良編
                 岩田アキラ 写真・文  NHK出版   2006年 発行
    能の平家物語     秦恒平 文・堀上謙 写真  朝日ソノラマ  1999年 発行
    能の見える風景         多田富雄 著   藤原書店   2007年 発行
    能の見方・考え方・楽しみ方   大河内俊輝 著  皆美社     1994年 発行
    能百十番            増田正造 著   平凡社     2003年5刷発行
    能への招待 1   文 藤城継夫・写真 亀田邦平  わんや書店   1994年 発行
      〃   2      〃      〃      〃    1994年 発行
    能を面白く見せる工夫 小書演出の歴史と諸相
           横道萬里雄・山中玲子・松本雍 著  檜書店     2009年 発行
    能・よみがえる情念 能を読む  馬場あき子 著  檜書店     2010年 発行
    能よ 古典よ           林望 著     檜書店     2009年 発行
    《能》我は我なり        大河内俊輝 著  三月書房    2004年 発行 

    初めての能・狂言 山崎有一郎 監修・三浦裕子 文  小学館     2003年7刷発行
    八十周年を記念して 七寶會の誕生とその歩み
                    辰巳美也子 著  (私家版)    2012年 発行 
    華より幽へ           観世榮夫 著   白水社     2007年 発行
    評伝 観世榮夫         船木拓生 著   平凡社     2007年 発行
    評論 演劇放浪記 演劇の軌跡と展開
                    藤田洋 著   たちばな出版  2011年 発行     
    風姿花伝・三道 世阿弥      竹本幹夫 訳注 角川学芸出版  2009年 発行

    まことの花           梅若六郎 著  世界文化社   2003年 発行
    三井記念美術館所蔵・旧金剛宗家伝来「能面」 三井文庫      2011年2刷発行
    見る・知る・読む 能五十番 
              小林保治・石黒吉次郎 編著  勉誠出版   2013年 発行
    夢幻の可能性 囃子方が舞台を創るということ
             成田達志・山本哲也 著 TTR能ルロジェクト  2012年 発行   

    ようこそ能の世界へ 観世銕之丞能がたり
                    観世銕之丞 著 暮しの手帖社  2000年 発行
    雪の能            大河内俊輝 著  わんや書店   1977年 発行
    謡曲集 上 新潮日本古典集成  伊藤正義 校注  新潮社    1983年 発行
     〃  中    〃        〃      〃      1986年 〃     
     〃  下    〃        〃      〃      1988年 〃
    謡曲大観第一巻         佐成謙太郎 著  明治書院   1983年 再版発行
      〃  二巻           〃      〃      1982年  〃
      〃  三巻           〃      〃      1982年  〃
      〃  四巻           〃      〃      1982年  〃
      〃  五巻           〃      〃      1982年  〃
      〃  別巻           〃      〃      1982年  〃
      〃  首巻           〃      〃      1982年  〃
    謡曲を読む愉しみ 花のほかには松ばかり 山村修 著 檜書店    2008年 発行
    横道萬里雄の能楽講義ノート 謡編  出版委員会 編  檜書店    2013年 発行

    連歌論集 能楽論集 俳論集 日本古典文学全集
       伊地知鐵男・表 章・栗山理一 校注;訳    小学館     1973年 発行



10年10カ月 | 16:50:39
観能10年10カ月から

  10. 能楽鑑賞2年目以降
       平成17年 (2005年) 〜

   (その1)

    岩崎久人師のこと

     横浜在住の現代能面打師、昭和20年7月生れ69才。「面 (おもて) の会」主宰、「横浜
     能面展」を1980年より毎年開催。著書に「面ヲ打ツ」「能・狂言の面集成」「能・狂言
     面集」など。金春流 守谷泰利師に師事、自作面を掛けて、能3番 (「羽衣」「弱法師」
     「角田川」) を舞っている。



     私は能面、特に女面が好きである。銀座で開催されている「岩崎久人展」を見に行った。
     岩崎師の打つ「女面」が、極めて魅力的なのだ。「岩崎久人還暦記念 能・狂言面集」を
     1冊購入、足を延ばして神保町の高山本店へ。欲しかった「自選 能英樹画集」(昭和56
     年改訂版)を見つけて購入。よい一日だった。
                            (平成17年7月10日 記)


     能面作家 岩崎久人師の「横浜能面展」などには度々伺っているが、会話を交わしたこと
     はない。第十九回「二人の会」(註:喜多流 香川靖嗣・塩津哲生主宰) の公演 (喜多能楽
     堂) で、偶々師と隣同士の席になった。話しかけると、気さくに応じてくれた。
     今日の「卒都婆小町」で 香川が掛けた面「痩女」は、師の打った新作面で、「今年は
     未だあの1面しか打ってないのだよ」と笑っておられたが、可成りの自信作のようだ。
     「やや面長で気品があって、何よりも舞台に映える佳い面ですね」と申し上げると、
     ニッコリされて嬉しそうであった。
                            (平成19年2月26日 記)


     高津紘一・岩崎久人・伊藤通彦の三師は、高度な制作技術を持つ、現代能面打を代表
     する能面作家である。だが、高津師が2日に急逝 (註:平成23年11月2日・心不全・
     享年70) された。3日前の先月30日、「海の会」公演 (註:勝海 登・観世流) のあと、
     高津・岩崎・伊藤師と私の4人で一杯やったばかり。
     高津師は温厚篤実な方で、極めて品位の高い能面を打つ。
     今日の葬儀に参列、師の冥福を祈った。そのあと、岩崎・伊藤師と3人で食事しながら、
     高津師の思い出を語り合った。
                            (平成23年11月7日 記)



10年10カ月 | 08:31:04
観能10年10カ月から


  (その5)   

    村上 湛氏のこと

     明星大学人文学部日本文化学科教授 村上 湛氏 (本名 田村良平) は、昭和38年生れの
     51才、気鋭の古典劇評論家である。元「能楽ジャーナル」や、現在「能楽タイムズ」、
     日刊紙などに能・狂言の批評を執筆している。
     著書に、「すぐわかる能の見どころ」「歌舞伎の身体論」。「能」の復曲・再構成に
     数多く携る。
    

    この世の中には、天才と呼ばれる人が居るものだ。能楽評論家の 村上 湛氏も、その内
    のひとりだと思う。氏は、昭和38年生れだから若干41才。それにしても、氏の論評や
    筆法は鋭い。
    些か小難しい日本語を操り、訳が分からなく意味不明瞭な箇所 (当方が不勉強な為だが)
    もあるが、総じて指摘に間違いは無さそうだ。良いものは良い、悪いものは悪いと、
    はっきり言う見識と勇気を持っている。
    氏の、頭髪の両すそを刈り上げ、一種独特なスタイルの人物を見所に発見した時、舞台
    上の演者は少なからず意識を持つだろう。
    私も再三お見掛けするので、先般「先生の切れ味鋭い論評のファンですよ」と声を掛け
    たら、彼の照れた表情に、未だ青年らしい恥じらいを感じて新鮮だった。
                           (平成16年7月5日 記)

    
    堂本正樹 (註:演劇評論・演出・劇作家、昭和8年生れ81才) の「喝食抄」の中に、
    面白い一文がある。
     平成五年一月十日(日)、品川駅で赤飯弁当を買い、高田馬場から地下鉄で矢来の
     九皐会へ。喜之の「翁」と 喜正の「難波」。(中略) 能を見ながら桟敷で弁当
     を食う。客席に 田村良平 (註:村上 湛) がいる。銕仙会の合評会で、銕之丞 (註:
     八世・本名 静夫・人間国宝・平成12年7月逝去) の「重衡」を「二千円の値打ち
     もありません」と言い放った、早稲田のドクターコースの若者だ。こういう人が
     出て、自己を詐らず見続けてくれるなら、能も安心だろう。
                           (平成16年10月30日 記)



10年10カ月 | 06:22:36
観能10年10カ月から

    (その4)

     堀上 謙氏のこと

      能楽評論家で、長年「能楽ジャーナル」(2012年3月廃刊) の編集長をされていた。
      昭和6年 (1931年) 生れの83才。著書・写真集に、「能・修羅と艶の世界」「平
      家物語と能」「能楽展望」「能の集積回路」「能界情報おもてうら」など多数。
      平成16年4月の初対面から現在まで、親しいお付き合いをさせて頂いている。
      能楽堂で、お元気な姿を拝見するとほっとする。
      

     「能楽ジャーナル」の誌上座談会で、堀上編集長が〈最近のシテ方五流の家元事情〉
     を語っている。
      「宝生流の 英照 (註:平成22年4月逝去) は、書生を置いているけれども、ああ
       言う為体だから教えてない。観世流の 清和も内弟子はとってないし、自分の事
       で精一杯。金春流の 信高 (註:平成22年8月逝去) は、老体だから教えられ
       ない。後嗣の 安明 (註:現家元) が、若い者の稽古を見ているようだが、息子の
       憲和を見るとどうも前途多難。金剛流の 永謹は、息子の 龍謹を教えるだけで
       アップアップしている。喜多流は 六平太が、家元の責任を放棄している。こう
       見てくると、今各流派とも、家元は指導者として、当てにならないと言うのが
       現実なんですよ」
      と、可成り手厳しい。だが、内情知らない当方には伺い知れぬこと。
                           (平成16年2月29日 記)


     能楽ジャーナル 堀上編集長との、思いも寄らない〈出会い〉に感動した。水道橋の
     宝生能楽堂での能楽観賞後、近くの中華料理店のカウンターで、偶然氏と隣り合わ
     せに座った。勿論初対面であるが、私は「能楽展望」の著者紹介写真で、氏の特徴
     ある丸顔を存じ上げていたので、思い切って声を掛けてみた。
     この1月、能を観だしたばかりの私の不躾な質問にも、興味深く丁寧に応えてくれ
     た。また、氏が講師の「能楽講習会」(早大オープンカレッジ、国立能楽堂)を教え
     てもらった。
     1年後、私は四十数年間のサラリーマン生活に別れを告げる。私にとっても、日本
     の伝統芸能である能楽に、興味と勉強意欲は十分持っている。4月9日、30分ほど
     の 堀上氏との出会いであったが、大きな贈り物を頂いた気分となった。
                           (平成16年4月9日 記)

     
     
     

10年10カ月 | 09:13:19
観能10年10カ月から

  9. 能楽鑑賞1年目
      平成16年 (2004年) 1月16日〜 同年12月31日
 
     私は、能楽鑑賞初公演から、日記風 (「能・狂言独り言」) に記録・感想を綴って
     きた。その中から、1年目の面白そうな記事・内容などを順次紹介して行く。


   (その1)
     この1年、私の能楽鑑賞が無事終了した。とにかく、手当たり次第「能・狂言」
     を観まくった感じで、節操がないと言えばその通りだ。
     最初から、何が何でも「能」を年間100番以上観てやろうと思った。結果は、
     151番観たのだから大満足なのだ。「狂言」は、50番目標で80番であった。
     この自己満足とは別に、私に何か得るものや視えたものがあったのか。日本の伝
     統芸能で、最も難解と言われる能の真髄を垣間見られたのか。と、問われると、
     何れも答えは〈否〉である。だからこそ、また観たくもなるし観なくてはならない。
     能には、飽きる事のない不思議な魔力がある。
     何百年前に創られ営々と継承されてきた能楽を、現代に生きる能役者自身が、次世
     代に繋ぐシステムを構築しなければ、何れ「能楽」は衰退の途を辿る。しかも、
     客あってのものなれば、それらも巻き込んだ対策を講じて行かなければならない。
     また、流儀・流派の情報開示も重要な要素のひとつ。既存の硬直した縦割り偏重
     社会や組織に、柔軟な横糸を通して行く必要がある。流派を超えた上部団体の、
     強力なリーダーシップが望まれる。           
                          (平成16年12月31日 記)


   (その2)
     能楽堂の数が全国にどの位あるのか、入門書には64カ所が紹介されている。住所
     を頼りに、返信用の切手を入れて、案内書や演能スケジュールを送ってもらうこと
     にした。20日間程で、58カ所から資料が届いた。わざわざ電話を、8カ所から
     いただいた。
     能楽堂は、東京12カ所、京都8、大阪・神奈川各5、愛知4、兵庫・広島・福岡
     各3 (以下 略) などで、北海道・沖縄はなかった。
     厳島神社・東本願寺・西本願寺など、神社・寺院に能舞台を持つところが11カ所
     ある。願わくば、全国64カ所の能楽堂をこの目で確かめたい。が、難しいだろう。

                          (平成16年1月22日 記)

   (その3)
     これまで能楽鑑賞4カ月、「独り言」に記録・感想を綴ってきて30篇となった。
     読み返すと、〈未熟者の独りよがり、誤った解釈、乱れた文脈、舌足らずでピン
     ト外れ、厚顔かつ知ったかぶり〉などなど、正に勝手気侭な無責任振りの内容。
     だが、修正しようとは思わない。その時々その場面で、感じた事思い付いた事だ
     から。さらに、私の貴重な能楽鑑賞記録でもある。
     継続は力なり、書く事は考える事。来月65才になる私にとって、ボケ防止にも
     なる。
                            (平成16年4月7日 記)



10年10カ月 | 11:08:34
観能10年10カ月から

  8. 式 能

    翁付五番立て演能形式を「式能」と称しているが、毎年2月に能楽協会主催で開催される。
    平成16年2月15日に、国立能楽堂で初めて「式能」を鑑賞した。爾来、毎年 全曲 (第1部・
    2部、但し 22年は一部しか鑑賞出来ず ) を鑑賞してきた。

    
    「翁」から始まり、脇能物「高砂」・二番目物「経正」・三番目物「鶴」・四番目物「通
    小町」・五番目物「融」の能6番と、狂言4番が演じられた。シテ方五流を初め、ワキ方・
    狂言方・囃子方とも各流儀からの出演である。
    第1部は10時開始、第2部は3時開始で、休憩等入れると9時間ほどの長丁場となる。
    些かくたびれたが、全体的にはなかなか見応えのある公演であった。来年も、この「式能」
    を楽しみたいものだ。                  
                             (平成16年2月15日 記)

   
    「式 能」鑑賞

    平成17年2月20日 
       能  「翁」・「高砂」・「清経」・「半蔀」・「枕慈童」・「鉄輪」
       狂言 「末広がり」・「蝸牛」・「樋の酒」・「水汲」
     〃18年2月19日
       能  「翁」・「高砂」・「清経」・「羽衣」・「玉葛」・「雷電」
       狂言 「末広かり」・「饅頭」・「文山賊」・「酢薑」
     〃19年2月18日
       能  「翁」・「高砂」・「経正」・「葛城」・「俊寛」・「葵上」
       狂言 「宝の槌」・「口真似」・「左近三郎」・「茶釜」
     〃20年2月17日
       能  「翁」・「鶴亀」・「田村」・「胡蝶」・「小督」・「車僧」
       狂言 「昆布柿」・「蝸牛」・「文荷」・「呼声」
     〃21年2月15日
       能  「翁」・「西王母」・「花月」・「羽衣」・「弱法師」・「張良」
       狂言 「佐渡狐」・「樋の酒」・「お茶の水」・「苞山伏」
     〃22年2月21日 (都合により第2部の途中から鑑賞)
       能  「自然居士」・「石橋」
     〃23年2月20日
       能  「翁」・「鶴亀」・「経政」・「吉野静」・「籠太鼓」・「鞍馬天狗」
       狂言 「末廣」・「六地蔵」・「寝音曲」・「悪坊」
     〃24年2月19日
       能  「翁」・「嵐山」・「生田敦盛」・「初雪」・「通小町」・「土蜘蛛」
       狂言 「昆布柿」・「茶壺」・「呼声」・「梟山伏」
     〃25年2月17日
       能  「翁」・「高砂」・「経政」・「吉野天人」・「枕慈童」・「飛雲」
       狂言 「福の神」・「蝸牛」・「箕被」・「棒縛」
     〃26年2月16日
       能  「翁」・「岩舟」・「清経」・「羽衣」・「放下僧」・「黒塚」
       狂言 「三本柱」・「神鳴」・「文荷」・「長光」

     〃27年2月15日(予定)
       能  「翁」・「西王母」・「花月」・「吉野静」・「鬼界島」・「葵上」
       狂言 「大黒連歌」・「舟渡聟」・「因幡堂」・「成上り」



10年10カ月 | 17:30:47
次のページ

FC2Ad